【面接官120人に調査】書類審査の時間は3分以下が約4割!|職務経歴書・履歴書の改善ポイントとは?

転職活動において最初の難関となる「書類審査」。

職務経歴書や履歴書は、応募者が自身のスキルや経験を企業に伝える重要な手段ですが、多くの応募者が「なぜ書類審査を通過できないのか?」という壁に直面しています。書類が通らない理由が曖昧なまま、同じような書類を繰り返し提出してしまうといった課題が、書類選考突破の大きな障害となっています。

そこで、実際に審査を行っている採用担当者の視点から、書類審査でどのような項目が重視され、どのような点が不合格の原因になりやすいかを明確にすることを目的にアンケートをとりました。

また、面接官が書類審査に実際にかけている時間も調査し、どのくらいの時間で合否が判断されているのあか、現場のリアルな状況を明らかにすることで、効率的かつ効果的に通過率を上げるためのポイントも探ります。

▼アンケート調査概要
有効回答数:120名(過去1回以上面接官経験のある人)
調査期間:2024/10/28~2024/11/8
調査機関:クラウドワークス
調査対象:全国20歳以上の男女
調査手法:Webアンケート

目次

1. 面接官の4割は書類審査にかける時間は3分以下

書類審査にかけられる時間は、応募者にとって職務経歴書や履歴書が目に留まるかどうかを左右する大きな要因です。本調査結果によると、回答した面接官のうち約4割が書類審査に「3分以下」で合否を判断していることが明らかになりました。さらに、1分以内で判断する面接官も16%にのぼり、審査時間が非常に短いことがうかがえます。

また、全体の約7割が「10分以内」に判定を出しているという結果も見られ、書類選考の大半は短時間で決まることがわかります。これにより、応募者が職務経歴書で自分のスキルや経験をいかに簡潔かつ的確にアピールできるかが、審査通過の鍵となっているのです。採用現場では膨大な数の応募書類に目を通す必要があり、効率的にふるいにかけるため、短時間で合否を決めざるを得ない状況が背景にあります。

短時間で印象に残る書類を作成するには、「求められるスキルや経験との一致」「具体的な成果の数値化」「見やすいレイアウト」など、面接官が重視するポイントを押さえることが重要です。無駄な表現を避け、要点をしっかりと伝え、最初の数秒で目を引く工夫が書類審査を通過するためのポイントとなります。

本調査結果から、職務経歴書や履歴書は「短時間でも伝わる内容」を意識して作成することが、転職活動を成功に導くために欠かせない要素であると言えるでしょう。

2. 主要な不合格要因は?(3位意欲不足)

書類審査で不合格となる理由として、採用担当者が挙げるポイントにはいくつかの共通点があります。本調査では、不合格要因のトップは「スキルの不一致」(65%)、次に「経験の不一致」(58%)となっており、企業が求めるスキルや実務経験と応募者の内容が合致していない場合、不合格となるケースが多いことがわかりました。

第3位に挙げられる不合格要因が「意欲不足」(43%)です。採用担当者は、職務経歴書や履歴書に記載された志望動機や自己PRから、応募者の意欲や熱意を見ています。採用担当者にとっては、意欲があるかどうかが、採用後の仕事への姿勢やパフォーマンスに大きく影響すると考えられるため、応募先に対する強い関心が伝わらない書類では合否に影響が出やすくなります。

志望動機がありきたりで具体性に欠けたり、自己PRで自身の強みが伝わりにくい場合、「この会社で働きたい」という意欲が採用担当者に伝わりにくく、不合格につながることが少なくありません。特に、なぜその企業に応募したのか、どのように貢献したいのかを具体的に示すことで、担当者に「一緒に働きたい」と思わせる書類となります。

この結果から、書類作成時には「求めるスキルや経験を具体的に示す」ことに加え、「応募先への熱意や貢献したい気持ち」を明確に表現することが、書類審査を通過するために重要なポイントであると言えるでしょう。

3.志望動機は70%以上が影響ありと回答

書類審査において「志望動機」が合否にどの程度影響を与えるかについて、アンケート結果では多くの面接官が重要視していることがわかりました。特に、「ある程度影響する」「非常に影響する」と答えた面接官の合計は70%超えますこの結果から、志望動機は他の要素と併せて評価されることが多い一方、書類全体の印象を左右する重要な要素とされています。

面接官は、応募者がその企業で働く理由や入社意欲を示す志望動機を通じて、応募者の熱意や企業とのマッチ度を確認しています。特に「なぜこの企業を選んだのか」「入社後にどのように貢献したいのか」といった具体的な視点が含まれていると、評価が高くなる傾向が見られます。

4. よくある改善が必要なポイント(自社で活かせるスキルがわかりづらい51%)

書類審査でよく指摘される改善点の一つが、「応募書類に自社で活かせるスキルがわかりづらい」という点です。採用担当者は、応募者のスキルや経験が自社の求めるポジションにどの程度合致するかを短時間で判断するため、職務経歴書には「この企業で自分がどう貢献できるのか」を明確に示すことが求められます。しかし、実際の応募書類には、応募先の業務に直接関係のない業務内容や、自社で活かせるスキルがわかりにくい記述が多く含まれているケースが多々あり注意が必要です。

面接官からのコメント紹介(自社で活かせるスキル)

応募先企業に合わせた書類を作成するためには、まず企業やポジションが求めるスキルを十分に理解することが重要です。その上で、自分の経験やスキルがその企業でどのように活かせるかを具体的に記載する必要があります。たとえば、「プロジェクトリーダーとして5人のチームを率いて、納期通りにプロジェクトを完了させた」といった実績があれば、それを具体的に書き、求人に記載された「プロジェクト管理能力」や「リーダーシップ」に関連づけて説明すると効果的です。

また、企業ごとに求められるスキルや経験は異なるため、応募する職種に合わせて職務経歴の内容を取捨選択することもポイントです。すべての業務経験を詳細に記載するのではなく、企業が特に重視しているスキルや知識に焦点を当て、それに関連する経験を強調することで、より「求められる人物像」に近い印象を与えることができます。

以下にコメントを紹介します。

現場責任者(30代)

自分が何をアピールしたいかではなく、会社側が求めている内容は何かを考え、そこで自分が貢献できることを書くべき。

人事採用担当者(30代)

ご自身の経歴を、応募先の企業でどう活かしていきたいのか」が明確に伝わってくると、主体性も感じられ、好感が持てます。

誤字脱字への指摘(54%)

また、誤字や脱字への改善の指摘も多いです。誤字脱字は書類全体の印象を損ね、応募者の細部への配慮や丁寧さに疑念を抱かせる原因となります。今回の調査では、54%の面接官が誤字脱字を改善すべきポイントとして挙げています。採用担当者は短い時間で書類を評価するため、誤字脱字があると、内容以前に応募者の誠実さや仕事に対する姿勢を疑うケースが多いです。提出前には十分な見直しを行い、誤字脱字がないかを確認することが重要です。

配属先責任者(20代)

目から入る情報は意外と重要です。顔写真を写りのいいものにしたり、読みやすい文を書いたり、誤字脱字をなくすなど、基本的な部分を徹底すると良いでしょう。

人事採用担当者(40代)

誤字脱字のチェックは必須です。

5. その他の面接官からのアドバイス(全体の見やすさ)

その他、多くの面接官から、職務経歴書や履歴書の「全体の見やすさ」が重要だという意見が寄せられました。特に、採用担当者は限られた時間で多くの応募書類に目を通すため、書類の内容を短時間で理解できるような視覚的な工夫が求められます。

人事採用担当者(40代)

職務経歴書の内容も大切ですが、文字の綺麗さや適切なレイアウト・文章構成等で読みやすくて印象の良い資料であるとことが審査側の心証を良くする上で重要だと思います。

まとめ

本調査の結果、書類審査の現場では職務経歴書や履歴書が非常に短い時間で評価されるという厳しい現実が浮き彫りになりました。多くの応募者が精一杯作成した書類も、面接官の約4割が「3分以内」、さらに全体の約7割が「10分以内」で合否を判断している現状があるのです。限られた時間で数多くの応募書類に目を通す採用現場では、どうしても「必要な情報が瞬時に伝わる」書類でなければ、しっかりと評価してもらえない可能性が高いのです。

応募者にとって、これほど短い審査時間の中で自己アピールを効果的に行うのは容易ではありません。採用担当者が瞬時に「この人と会いたい」と思えるような、伝わりやすい職務経歴書を目指すことが、書類通過の第一歩となります。この調査結果からも、簡潔で的確に自分の経験やスキルをアピールすることの重要性が改めて強調されています。

調査結果概要|面接官120人アンケート

以下は本調査のまとめになります。

短い審査時間の中で「伝わる書類」を作るためには、これらの改善ポイントを押さえることが、書類審査通過のカギと言えるでしょう。

  1. 書類審査の時間は短い
    • 約40%が「3分以内」、約70%が「10分以内」で判断
  2. 主な不合格要因について、意欲に関する項目が3位
    • スキルの不一致(65%)
    • 業務経験との不一致(58%)
    • 志望動機から意欲が感じられない(43%)
  3. 面接官が指摘する職務経歴書・履歴書への改善点
    • 誤字脱字への指摘(54%)
    • 具体的なエピソードが書いていない(51%)
    • 自社で活かせるスキル経験がわかりづらい(51%)

▼面接官120人アンケートから分かる職務経歴書・履歴書作成のポイント

本調査の結果から、書類審査を通過するためには、次のポイントを意識することが大切だとわかりました。誰もが一生懸命作成する書類だからこそ、採用担当者に確実に伝わる工夫を取り入れていきましょう。

  • 具体的なスキルや実績を示す
    応募先企業が求めるスキル・経験に自分の経歴が一致していることを明確に示しましょう。例えば、「プロジェクトリーダーとしてチームを率いた」といった具体的な実績を記載し、それが企業が求める能力とどう関連するかを示すことが効果的です。
  • 誤字脱字のチェック
    誤字脱字があると、細部への配慮や仕事に対する姿勢が疑われることがあります。提出前に必ず確認し、書類が完璧であることを確認しましょう。第三者にチェックを依頼するのも効果的です。
  • 見やすいレイアウトの工夫
    フォントや行間を整え、全体が整理されたレイアウトにすると、面接官が短時間で内容を把握しやすくなります。
  • 企業に合った志望動機
    志望動機では、「なぜその企業を選んだのか」「自分がどのように貢献できるのか」を具体的に示すことが大切です。業界や企業特性に触れた内容にすることで、意欲を伝えやすくなります。

最後に

書類審査を通過するためには、短時間で印象を残せる書類を作成することが重要です。今回の調査結果を活用して、面接官に「この応募者は必要な人材だ」と思わせる職務経歴書・履歴書を作成するためのポイントを実践してください。

参考記事:【もと面接官が解説する】職務経歴書の書き方

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